こんにちは。表参道HAKUデンタルクリニックの白です。
ゴールデンウィークは皆さん楽しく過ごされたでしょうか。
僕は近場で家族とのんびりしてリフレッシュできました。
面白かったのはは横須賀の猿島。初めて猿島に行ったのですが、なんとそこには仮面ライダーのショッカーの基地がありました。
昔はこんなところで撮影をしていたんですね。子供達より僕のほうがテンションあがりました。

さて、今回の投稿は”ホワイトバランス”について。
普段聞きなれない言葉だとおもいますが、カメラを使いこなす方にとっては大事なものです。
物を撮影する際に周りの光の環境によって撮影する物の色は変わっていきます。屋外での撮影(晴れ・曇り)、屋内での蛍光灯・白熱電球など光源によって同じものを撮影しても違う色になってしまうのはおわかりだとおもいます。
ホワイトバランスとは、光源の光がどのような色かを調整して白を白として正しく映せるように補正する機能のことです。
私達がセラミック冠で歯の修復を行う際に重要なのは色合わせです。
より自然感のある歯を再現するためには、このホワイトバランスを理解したうえでシェードテイキング(歯の色を撮影すること)をしなければなりません。
では一つインプラント症例をみていただきましょう。
下の写真。右上2番目の歯ですが、すでに歯の神経をとっている歯でしたが硬いものを噛んだ際に歯が割れてしまったケースです。正面から見るとなんともありませんが、裏側の矢印の部分から縦に歯が割れています。横の割れてしまった場合は保存可能な場合がありますが、このように縦に割れてしまった場合はほとんどの場合抜歯をしなければなりません。
このケースでは相談の上、抜歯即時埋入インプラントにて修復することにしました。

術前1

インプラント埋入後、支台(アバットメント)を装着した状態です。
このケースではCAD/CAMを用いたチタン製のカスタムメイドアバットメントを使用しました。

アバットメント1

そしてこちらが被せもの(上部構造体)を入れた状態です。
どうでしょう。人工的に作られたとは思えない自然感のあるきれいな歯が再現されました。

wp-症例implant

ここからが本題ですが、このような歯の治療で歯の色を決定する際に参考にするのが反対側の歯になります。このケースでは右側の2番目の歯の治療ですから、反対側の2番目の歯の色を記録します。
その際にシェードガイドという色見本を用いますが、その横にある灰色のカードが重要になります。
これはグレーカードというもので、この色をあらかじめカメラに記録しておき歯の撮影をする際に下の写真のように一緒に撮影することにより、撮影環境にできるだけ影響をうけないでホワイトバランスを調整することができます。
ここでもう一つ大事なので、撮影する際に記録様式をJPEGではなくRAW画像で記録しなければなりません。
”RAW画像”というのも聞きなれない言葉だとおもいますが、普段皆さんが使っているデジタルカメラの画像はJPEGという様式で保存されていて、これはある程度見やすいように加工された画像であって本来の画像データが圧縮されています。
RAW画像はすべての画像データがはいっていますので、編集ソフトで色の調整ができます。
下の画像はニコンのRAW画像の現像ソフトの編集画面ですが、ここでグレーカードを用いたホワイトバランスの調整を行います。

ホワイトバランス

カーソルをグレーカードに合わせて、「グレーポイントを使用」をクリックすると。
上の画像と下の画像の違いが分かるでしょうか。微妙に変わっているとおもいます。
こうすることにより、撮影環境が変わってもある程度同じホワイトバランスを再現できるようになります。

グレーポイント

そしてその情報を元に歯科技工士が匠の技でセラミック冠をつくっていきます。
下の歯は見事に一回で装着することができました。

after

今回のようなインプラント治療に限らず、審美歯科治療を行う上で色合わせはとても重要であり歯科技工士にとっても一番苦労するところでもあります。より多くの情報を性格に歯科技工士に伝えることにより審美歯科治療を成功に導くことができます。