今回はMB2のお話です。

MB2とは歯の根っこにある神経の穴でM:mesial(近心)、B:buccal(頬側)の2番目のことをさします。
上の歯の前から6番目の歯。いわゆる6才臼歯と言われる歯ですが、3本の根で歯を支えています。その3本のうち手前の頬っぺた側の根っこのことを近心頬側根(MB根)といいます。このMB根が曲者で1本の根っこですが神経の穴が2本あることがあります。
この穴をMB2というわけです。
いわゆる歯の根っこの神経治療のことを根管治療・歯内療法(しないりょうほう)いいますが、歯が急に痛くなって歯医者さんに駆け込み根の中をゴリゴリされた方も多いとおもいます。
まずは↓のレントゲン写真。
見る人が見ればわかるものですが歯の根っこに病巣を作っているんですが、ちょっとわかりにくいですね。
従来はこの2次元的なレントゲン画像で多くの診断をしていました。

P11

そして歯科用の3D CTを撮影してみると根の先に黒い病巣があるのがよくわかります。
さらに黄色の矢印をよく見ていただくと、薄っすらと黒い線がみえますね。
これが2番目の神経の穴MB2になります。

26.1

こちら↓は輪切りにしてみた状態です。
先ほどの細い黒い線がこの小さい穴となります。

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こちら↓は別のケースですが、同じく6番目の歯のレントゲン画像。
この場合黄色の矢印の部分のMB根の治療が施されていません。
ある意味、本当のしない療法(歯内療法)ですね。

P22

そして3D CTをとってみるとハッキリと2本のMB根が確認できます。

16.1

輪切り状態をみるとMB2がありますね。

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実はこの上の6番目の歯は最も根管治療の再治療を行うことが多い歯なのですが、その多くの原因がこのMB2にあるといわれています。
なぜかと言いますと単に見えないからです。
ただでさえ見にくい上の奥歯の中でMB2は非常に細いため見落としてしまうことがあります。
それを解決してくれるのが3D CTとマイクロスコープになるわけで僕の経験上、CTとマイクロスコープを使用すればほぼMB2の発見・治療は可能となります。
我々歯科医にとっても3D CTとマイクロスコープは手放せない診断・治療ツールになりつつあります。