こんにちは。表参道HAKUデンタルクリニックの白です。

今回は歯冠修復治療において大事な歯肉圧排についてご説明します。
まず歯冠修復というのはいわゆる被せものの治療です。
むし歯が大きくなったり、歯の神経をとった場合に歯の機能を回復させるために行う治療方法で歯医者さんで治療の際に「銀歯にしますか?、セラミックの白い歯にしますか?」なんて聞かれたこともあるとおもいます。

その歯冠修復治療を進める上で重要なのが”歯肉圧排”。
字のごとく、歯ぐきに圧をかけて排除することですが、どうするかというと歯と歯茎の間に糸をいれる作業を”歯肉圧排”といいます。ではなんのためにするのでしょうか。

ひとつは歯とかぶせ物(クラウン)との境目を適正な位置に設定するために。
もうひとつはかぶせ物を作る際の型採りをきれいに採るためにおこないます。

そこで我々がこだわるのがその糸の種類。
いろいろなメーカーから太さ・色・編み方が異なる糸が発売されています。

圧排1

様々な太さの糸があります。

圧排3

そして僕のお気に入りが↓の3種類。いろいろ使い比べた結果、これに落ち着きました。
それぞれ太さ・色が異なります。

圧排2

ここからが大事なところで、この糸の色は糸の太さを見分けるためのものであまり意味はないのですがこの太さがとても重要になります。詳しくお話しますとちょっと専門的になりすぎてしまうので割愛しますが、簡単にいうと歯と歯茎の間の溝(歯肉溝)の深さにはある一定の法則があってその溝の深さにあわせて挿入する糸を選択する必要があるということです。

↓の写真はまず細い糸を1本入れた状態で、歯の形を整えています。
ここで大切なのは歯茎が健康な状態で歯肉炎や歯周病などで出血がないことです。

圧排4

↓がさらに2本目の糸をいれた状態です。
これは型採りをする準備のためにおこないます。
歯茎を外側に排除することにより歯とかぶせ物の境目の型採りをきれいにすることができます。

圧排5

そしてこちらは他のケースになりますが、同様の処置により境目の型採りがきれいできているのがおわかりでしょうか。

圧排6

型に石膏を流した状態です。この石膏模型を元に歯科技工士がかぶせ物を制作していきます。
このようにきれいな模型をつくることにより、より精密な被せものの制作が可能になり歯の寿命にもつながるわけです。

圧排7

どうでしょうか。この一連の作業、わかっていただけたでしょうか。
一つの歯を型採りするのにも意外と大変なものなんです。
この”歯肉圧排”、とても地味な処置ですがこれをしっかりやるかやらないかで特にセラミックを用いた審美修復治療での成功におおきく関わってきます。
これから歯医者さんで被せものの治療を受ける方はぜひ覚えといてください!!