こんにちは。表参道HAKUデンタルクリニックの白です。

今回のテーマは「デジタル印象VSアナログ印象」
印象とは「型取り」のことでより正確な型取りを行うことでより正確な被せ物(クラウン・インレー)を作製することができます。
下の写真は口腔内スキャナーのTrios3と通常のシリコン印象材。普段の臨床では口腔内スキャナーの精度は従来のアナログ印象を超えたものだと実感していたのですが、わかりやすく確信を得るためにどちらがより正確か検証してみました。

まず練習などで使用する顎模型を実際の口腔内に見立てて支台歯形成(かぶせ物を作るために歯を削る)を行いました。
そして通法に従い、シリコン印象材で精密に型取りし作業用模型をつくります。

こちらは口腔内スキャナーTrios3を用いてデジタル印象の画像。
咬合関係(かみ合わせ)までしっかり記録できます。

下:支台歯の状態。今回はより正確に型取りするために歯茎より上にかぶせ物の境目を設定しています。

そしてこちら↓は口腔内スキャナーで得た.STL(3次元データの拡張子)のデータを元に3Dプリンターで作製した模型。
光造形法によりつくったものですが、予想以上に出来がよかったです。

これで準備が整いました。まず口腔内スキャナーから得たSTLのデータをCADソフト(exocad)にてデザインして通法に従いジルコニアクラウンを作製。次にシリコン印象材から作製した石膏模型を用いて、デスクトップスキャナーにて支台歯形態のスキャンを行い同様に通法に従いジルコニアクラウンを作製しました。

 

技工士である歯立屋の森田氏に協力して頂き二つのクラウンを作製しました。

↓はクラウン(被せ物)が入る支台歯の状態。

さて結果はどうでしょう。まず最初に石膏模型で作製したクラウンを試適してみると・・・。
支台歯に入りますがやや若干浮いた状態でしっかりと収まりません。

次に口腔内スキャナーのデータのみで作製したクラウンを試適。
素晴らしい!見事にしっかりと収まりました。

今度は口腔内スキャナーで作製したクラウンを3Dプリンター模型に試適。
こちらもしっかり収まります。ここでわかるのは石膏模型より3Dプリンター模型のほうがより正確ということです。

最後に口腔内スキャナーで作製したクラウンを石膏模型にいれると。
かなり浮いた状態ではいりません。

どうでしょう。この結果。予想通りといえば予想通りですが、簡単に言いますとデジタル印象の勝利!ということです。
我々歯科医が今まで絶対的に信じてきたシリコン印象材による精密印象と石膏模型による技工作業には思いのほか変形要素が多く、デジタルデータのみを用いた技工作業のほうがより正確であることがわかりました。
いやー、恐るべし口腔内スキャナーですねー!

※クラウン作製にあたり便宜上クラウンの縁を厚く作っています。